Nintendo Switch基板 M92T36が故障したときの症状とは?
こんにちは、修理人のサックスです。
Nintendo Switch基板で最も壊れやすいICチップといえば、M92T36です。
パーツの場所は写真のここです。
このICチップは、私の経験上、とても故障率が高いパーツとなっています。
M92T36が故障すると下記のような症状が出ます。
すべて私が修理してきたSwitchで発生した症状になります。
- 電源オン直後に、エラーコード「2134-0501」が表示されてゲームができない
- 電源オン直後に、エラーコード「2162-0002」が表示されてゲームができない
- 充電できない。充電ケーブルさしても反応しない
今回は、M92T36を交換する方法を注意点と共に解説していきます!
注意点は、すべて私がやってしまった過去の失敗経験談となります!
修理に必要な道具
自分でM92T36を交換する際に必要な道具は次の通りです。
道具名 | 写真 | 用途 |
---|---|---|
ヒートガン | メインの修理道具。M92T36のハンダを溶かすために使用する | |
温調ハンダごて | はんだブリッジを修正する用途で使用する | |
液体フレックス | はんだのノリをよくするために使用する | |
ピンセット | 先曲がりピンセット。M92T36をつまんで持ち上げる際には必須。防熱対策は必要かもしれない。 | |
Y字&プラスドライバ | 本体を分解する際に使用する。 | |
顕微鏡 | カメラタイプでも良いが、顕微鏡は必須。写真は双眼顕微鏡。 |
M92T36の交換手順とは?
M92T36の交換手順は次の通りです。
- Nintendo Switch本体の分解
- M92T36の取り外し
- 交換準備
- 交換作業
各工程ごとに解説していきます!
手順① Nintendo Switch本体の分解
ニンテンドースイッチ本体の分解は、ifixitで公開されている下記の記事が非常に詳細に解説していますのでご参照ください。
マザーボードを取り外せたら完了です。
手順② M92T36の取り外し
次の詳細手順に従って、作業を行います!
ヒートガンの温度を180度、エアー風量を20%程度に設定し、周辺に熱風を当てていきます。
時間は約1分程度です。小刻みに周辺をまんべんなく温めます。
まずフレックスを投入します。
ヒートガンの温度は、400度程度。エアー風量は20%程度とします。
早く温めたいからと言って、エアー風量を多くすると、コンデンサや抵抗などが吹っ飛んでしまい大変なことになりますので注意です。
私も同じ失敗をして、コンデンサを吹き飛ばしてしまい、泣く泣く部品を追加注文した経験があります…。
フレックスが投入されている場合、ハンダの色の変化が見やすくなります。
はみ出しているハンダが鈍い銀色の場合はまだ溶けていません。
鮮やかな銀色になった場合はハンダが溶け出しているため、取り外すチャンスです。
M92T36だけを確実につまみ、垂直方向に取り外してください。
M92T36の周辺には超小型コンデンサなどが所狭しと配置されています。
つまみが甘く、途中で落としてしまった場合、コンデンサなどを巻き込んで、吹っ飛ばしてしまう恐れがあります。
無事に取り外せたら完了です!
手順③ 交換準備
M92T36を取り外したことで、ハンダの量が不均一になっているため、すべて取り除きます
ハンダ吸い取り線を利用して、すべて吸い取ります。
無鉛ハンダで溶けにくいため、必要に応じて鉛入りハンダを投入してから吸い取るとやりやすいです。
ピン配置部分にハンダをのせていきます。この時ブリッジしないように注意が必要です。
すべてのピンに漏れなくハンダをのせます。
中央のでかいランドの中心に、プレハンダします。
量はできる限り少なくしましょう。
多くのハンダを乗せてしまうと、この後の工程で大量にハンダがはみ出して周辺コンデンサがはんだまみれになって大変なことになります…。
この段階では全体に伸ばす必要はありません。このあとヒートガンを使って伸ばしていきます。
手順④ 交換作業
取り外しの時と同様にプレヒートします。
ヒートガンの設定は、温度180度、エアー風量を20%程度です。
フレックスを投入し、ヒートガンの温度を400度、エアー風量を20%程度とします。
十分に温まると、中央にのせたハンダが溶けて、自然に全体に広がっていきます。
向きを間違えないようにし、設置します。よく見るとマークがあるので、その向きに合わせて設置してください。
その後、熱風を当てていきます。
プレハンダができている場合、多少ずれていても表面張力でピタっときれいな場所に張り付きます。
張り付いたら、ピンセットで押します。
この時、中央からハンダがにじみ出てきますが問題ありません。
再びフレックスを投入し、はんだごてではみ出たハンダ部分をなでるようにすると、ハンダがこて先に吸い取られ、自然と形が整います。
ハンダブリッジしていないか確認しましょう。
問題なければ完成です!
さいごに
仕上げとして、無水エタノールで残ったフレックスを除去しましょう!
きれいになれば交換作業は完了です!お疲れ様でした!
慣れれば30分程度で交換できるようになります!
いかがでしたでしょうか?
このパーツをうまく交換できるかどうかが、Nintendo Switchがよみがえるかどうかの瀬戸際になるので皆さんぜひチャレンジしてみてください!