Switch基板 ICチップ CYW4356XKUBG 故障時の症状とは?
Nintendo Switchの基板のうち、交換難易度が高いものがこの「CYW4356XKUBG」です。無線LANやBlueTooth通信用のチップですね。
ここが故障すると、次のような故障の症状がでます。
・Switchの電源ON直後、オレンジ色で画面一色になる。(オレンジスクリーン)
・起動後の2番目のロゴ(Switchのロゴ)で、フリーズする
・無線LANやジョイコンの無線接続ができない
比較的よく見る症状ですね。これが修復できるようになると、一気に修理の幅が広がります。
かなり高難易度ですが、下記ではポイントを踏まえて丁寧に解説していきます!
この記事を読むことで次の疑問を解消することができます!
・ CYW4356XKUBG のリボール交換ってどうやるの?
・失敗しそうなポイントって?
それでは行ってみましょう!
交換部品の調達方法は?
早速の重要なポイントです。
交換用の部品は通販で買わず、ドナーボードから取り外すこと
海外通販サイトなどでこのICチップを検索すると、販売しているショップを見つけることができます。
しかし、こちらで確認したところ、販売しているICチップにはNintendo Switchで使用するためのファームウェアが書き込まれておらず、交換しても使用できませんでした。
海外フォーラムサイトでも同様の報告が上がっていることから、 CYW4356XKUBGの交換パーツは市場流通していないため、必ず別のNintendo Switch本体から取り外す必要があります。
CPU破損等で修理できなったNintendo Switchの基板もきちんと保管しておき、このような事態に備えると良いでしょう。
交換部品の調達ができたら、いよいよ交換作業です。
修理に必要な道具とは?
ICチップ CYW4356XKUBGを自分で交換修理を行うときに必要な道具です。
道具名 | 写真 | 用途 |
---|---|---|
ヒートガン | メインの修理道具。高温で温めることで、ICチップのハンダを溶かす用途に使用する | |
ペーストハンダ | 液体状のハンダ。リボール時には必需品。 | |
ステンシル | リボールを生成する際に使用する雛形。このIC専用のものを利用。 | |
温調ハンダごて | 今回の修理では、主にランド掃除用途。 | |
液体フレックス | 液体フレックス。常温では粘り気があるため利用しやすい。ハンダを溶かしやすくする用途で利用する。 | |
ピンセット | 先曲がりピンセット。ICチップをつまんで持ち上げる際には必須。ゴムなどを巻いて防熱しても良い。 | |
セラミックピンセット | 先端がセラミックでできたピンセット。これを使用するとピンセットが熱くならない。 | |
Y字&プラスドライバ | ドライバ。本体を分解する際に使用する。 | |
顕微鏡 | ミリ単位の作業になるため、顕微鏡は必須。写真は双眼顕微鏡。 |
ICチップ CYW4356XKUBGを自分で交換修理する際の手順は?
自分で CYW4356XKUBG チップの交換修理を行うときの手順は次の通りです。
- ICチップCYW4356XKUBGの取り外し
- リボール準備&リボール
- 交換作業
- 後始末
それでは各工程ごとに詳しく解説していきます。
手順① ICチップCYW4356XKUBGの取り外し
フレックスを投入してプレヒートします。
温度は200度 風量30%程度。大体1分程度でOKです。
フレックスを投入してメインヒートします。
温度は450度 風量は30%程度
液晶ラッチなどに熱風を当てないように注意しましょう
時々、ツンツンと、ICチップをピンセットで触りながら、ハンダの溶け具合を確認しましょう。
他のICチップに比べて、さらに隣接するコンデンサや抵抗が邪魔になります。
また、ICチップ自体も薄く縦長のため、慎重に先曲がりピンセットで取り外してください。
手順2 リボール準備&リボール
取り除く際は、いきなりハンダ吸い取り線を使うと、温度が上がりきらず、ランドが取れて修復不能になります。
低融点ハンダやハンダペーストを少量利用し、無鉛はんだの融点を下げながら取り除くようにしましょう。
ステンシルの穴と合うように設置し、ハンダペーストを塗ります。
その後、ヒートガンでヒートするのですが、ここで注意
直接ヒートするのではなく、ステンシルの外側から徐々に温めていきましょう。
こうしないと、どれだけ抑えていても、ステンシルが熱で膨張して曲がってしまい、うまくボールを作れません。
ステンシルから剥がした直後は、ボールがきれいに出来上がっていないこともありますので、ステンシルから 剥がした 後に、もう一度だけヒートします。
手順③ 交換作業
フレックスを投入後、250度 風量40%程度でしっかりと温めます。
マークを確認しながら、設置していきます。
向きだけではなく、設置位置まで細かくマーキングしてありますので、慎重に仮置きします。
この時、1列以上ずれてしまうと、既存ハンダの除去からやり直しになります…。
もう一度フレックスを投入し、温度450度 風量20%程度で加熱します。
ハンダの表面張力により、ピタっとくっついたあと、ICチップの端をほんのわずかだけピンセットでつつきます。
うまくハンダが溶けていると、プルルと動いたあとにもとの位置にピタっと止まります。
こうなったら完了です。
手順④ 後始末
いつもと同じようにIPAでフレックスを除去すれば完了です。
ステンシルなども汚れをしっかり除去しておかないと、次回以降使うのが大変になりますので、しっかりと掃除をしておきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
Nintendo Switchの基板修理において、最難関に近い無線チップの「 CYW4356XKUBG 」について解説していきました。
今回のポイントは次の通りです。
・交換パーツは通販ではなく、ドナーボードから取得すること
・ランドを保護するため、低融点ハンダ等を使って慎重に作業を行うこと
・ステンシルのヒート時は、外側から徐々に温めていくこと
これで無線関係故障時にも、修理することができるようになります!
ぜひチャレンジしてみてくださいね。